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昨日は娘の中学の卒業式だった。
だけど父親である僕は出席しなかった。年度末の三月にそう簡単に会社を休めない事情もあったけれど、僕自身が出席しないと決めた。娘はもう十五歳だ。自分のときのことを思うと、いちばん親が疎ましい年頃でもあるはずだ。娘から見た父親など尚更だろう。本人に聞くまでもなく、娘も父親に出席してもらいたいとは思わないだろう。先回りをしてそう決めつけた。
いつの頃からだろう。こんな感じで娘とはつかず離れず、どこか微妙な間合いで接するようになった。衝突しないように、波風立てないように僕自身がそう立ち回っていた。その僕が今日は何ヶ月も前から周到に仕事のやりくりをつけて会社を一日休んでいる。
卒業式の翌日の今日は、娘の受験した公立高校の合格発表の日だ。その合格発表に僕は娘といっしょに立ち会うために、こうして一日会社を休んでいる。
娘の受験もいよいよ現実味を帯びてきて、いつもと違ってどこか尻の座りの悪い正月休みが終わる頃、妻から公立の合格発表である今日の休みを頼まれた。
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