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「やっぱりもっと確実なところに志望校を替えるべきかしら」
娘の中学校や塾からもらった受験資料、それに僕たちの不安を表すようなインターネットで拾い集めた脈絡のない雑多な受験情報のプリントアウトを夕食後のテーブルいっぱいに拡げて妻が言った。
「でも、うちの県の場合、もう1ランク下げたら、このあたりの高校になるよ。それで合格しても、お前、入学してから後悔しないか?」
難易度順にランク分けされた資料の高校名を指差して僕が娘に聞く。
「うーん、確かになんか今まで勉強してきたのが馬鹿らしくなっちゃうかもね・・・」
娘がまるで他人事のように言う。
最終志望校の願書提出期限が一週間後に迫ってもまだ娘と妻と僕は、そんなメビウスの帯のような会話を繰り返していた。
それにしても、その気になれば資料だけはいくらでも集まるものだ。そして見れば見るほどわかったことは同じ高校でも資料によってランクづけされた偏差値や難易度にけっこうバラつきがあることだ。結局最後は当人たちの意思次第ってことなのだ。
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