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「今日もまた轢いちまったぜ」と車から降りてきた男は言った。 「車が汚れて仕方ねぇよ」と言いながら、電子タバコを投げ捨てた。 ほかの男がこう言った。 「やつらは命を賭けてるバカ野郎さ」 「ふん、頭がイカれてんだよ」 どうして、こんな交通ルールになったのか。 それは、歩行者の信号無視があとをたたず、事故が起きても歩行者は責任を取らなくて良かったからだ。 それに、たとえ運転者がルールを守っていても、轢いてしまうと運転者が責任を取らされていた。 (ごう)()やした運転者と、保険会社がルール変更を国に(うった)えた。 そして、とうとう、交通ルールが変更された。 『信号無視の歩行者は轢いても構わない』ことになった。 それにより、歩行者側(ウォーカー)と、車側(ドライバー)の戦いが始まった。
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