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バスに乗って帰宅するとベッドに倒れ込んだ。
薄暗い部屋の天井を眺めるのにも飽きて、壁のカレンダーを見る。
そこには合格発表の日に印がつけてあり、その翌日からの日付には「優希くんと卒業旅行?」と、ありもしない予定が書かれてあった。
「なんでだよぅ……」
浮かれた未来を予想していた自分のことを絞め殺したかった。
「なんで、だよぅ……!」
私はこみあげてきた涙を拭うため枕へ顔を押し付けた。
その間、ずっと学生カバンの中のスマホが振動し続けていたのはわかっていたけど、応答しなかった。
そうして、優希くんと会わないまま卒業式を終え、優希くんは大学生になり、私は浪人生になった。
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