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それから私達は一年間、一度も会うことなくスマホだけで繋がった恋人として過ごした。
優希くんは大学へ通い、私は予備校へ通った。
会えなかったわけじゃなく、会わない日々の始まり。
優希くんから送られてくるメッセージはシンプルだった。
『桜が咲いてる』
『近所の猫の毛並みはサラサラだ』
『2Bのシャーペンの芯は濃い』
『眼鏡をかけると黒板の字がよく見える』
それがどうした、と言ってしまえばそれまでのメッセージばかり。
正直何が言いたいのかわからなかった。
なのに、なぜか私はホッと和んでしまった。
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