プロローグ

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プロローグ

西暦2000年。 ここはアメリカ合衆国カリフォルニア州アナハイム。 そこの閑静な住宅地に1人の少年が元気よく過ごしていた。 彼の名前はウィル・ラチャンス。 母親と2人で、小さな一軒家に住んでいる。 「そんじゃあ行ってきまーす!」 「ウィル~!車にはねられないように気をつけるのよ~!」 「平気平気~!」 元気よく家を飛び出すウィル。 すると庭で郵便局員の格好をした1人の中年男性と会った。 彼の名前はゴードン、血縁関係はないがウィルにとっては古くからの良きおじさんだ。 「うお!ウィル!」 「こんちはゴードン!」 急に飛び出してきたウィルに驚くゴードンだったが、ウィルはそのまま自転車に乗って遊びに出かけていった。 それを見てゴードンは笑いながら家のベルを鳴らして中に入る。 「先程ウィルが飛び出していくのを見たよ。相変わらず元気を絵に描いた子だな」 「逆に元気すぎて、いつ危ない事を巻き起こすがヒヤヒヤだけどね」 「良いじゃないか。子供はそうやって危険な事を学んで大きくなるんだ」 「そうかもしれないわねぇ……ゲホッ!」 突然咳込む彼女にゴードンは少し気になった。 「風邪か?」 「ここ最近ね。そのうち治るでしょう」 彼女は気にも留めていなかった。 だがその風邪が、ただの風邪ではない事を知る頃には、既に何もかも手遅れだった。
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