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#1 真実
西暦2009年。
とある火葬場……そこでとある人物の火葬が行われていた。
「…………」
ウィルは火葬場の外で、ぼんやりとした目で空を見上げる。
火葬されているのはウィルの母だった。
難病で母は死んだ。
病気が発覚した時には既に手遅れだった……この時点で延命を目的とする治療が始まった。
結果的に母は9年生きた……延命治療の中では長く生きた方なのかもしれない。
「そこにいたか、ウィル」
突然の後ろからの声にウィルは振り返る。
そこにはゴードンが立っていた。
「ゴードン……」
「そろそろ火葬も終わる。悲しむ気持ちは分かるが、しっかりと見届けなさい。君が彼女の唯一の家族なのだからな」
「…………」
ゴードンの言葉にウィルは小さく頷く。
ゴードンはウィルが小さな頃からの家族ぐるみでの友達で、ウィルの良き理解者でもあり、父親の様な存在だ。
本来、家族はウィル1人しかいない為、喪主はウィルとなるのだが、まだ完全に大人になりきれていない為、難しい事は全てゴードンがカバーしてくれた。
「ごめんゴードン。何から何まで、全部任せっきりで」
ウィルは申し訳なさそうにゴードンに言うが、ゴードンはウィルの肩を優しくポンポンと叩いた。
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