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「鈴蘭さん……その、俺、鈴蘭さんが好きです!!」
あれだけ言うのを渋っていたのに、もう今は早く言いたくて仕方がなくなってしまっていた。
俺はもう気持ち悪い時に便器に戻したりするのに近い間隔で、気持ちを伝えていた。
(やばい、言っちまった…!!)
彼女の両手を掴む俺の手はガタガタ震えっぱなしだし口の中はカラカラだし汗は止まらない。
ダメだ、せっかく色々と告白の言葉を考えて練習してきたのにそれらは全て俺の記憶媒体からバックアップもなしにまとめて「緊張」というクリーニングソフトにより削除されてしまい、次の言葉を言おうにも俺の言葉の引き出しはもうすっからかんだった。
「し…椎名さん、顔、あげて」
「は…はい」
どれくらいそのままでいたのかわからないが、意識が消えかけていたところで鈴蘭さんが小さな声で俺に顔を上げるように言った。
もうさっきからずっと彼女の顔を正面から見ることができなかったが、こう言われたら素直に従うしかない。
恐る恐る顔を上げると、俺の視線の先には俺と同じくらい顔を赤くした(自分で見てないのでわからないが多分すごく赤い)鈴蘭さんの大きな目が、俺の目をじっと見つめていた。
(なにこれ、どういう反応だよ)
鈴蘭さんはそこで硬直したまま動く気配がない。好きな人に見つめられたまんま何もできないなんてこんなの生殺しだ。
「あ、あの」
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