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堪り兼ねてガチガチにこわばった口をなんとか動かそうとするがそれは適わず言葉にならない。
今まで一度も告白なんてしたことなかった男が何年かの気持ちをこめてやっと告白してるんだから緊張、するだろ…!
「し、椎名さん……私もずっと、あなたが好きでした…」
「え!?」
ようやく聞こえた鈴蘭さんの言葉は、長い間俺をくすぶり続けた悩みや葛藤を全て打ち消すものだった。
好きだった、だと!?
「ほ、ほんと???」
俺は今すぐ床に倒れたかったが全神経を足先に集中させなんとか立った姿勢を維持する。もう彼女の手を掴んでいるという感覚すらない。
「ほ、ほんとです!お付き合い、してくださいますか?」
鈴蘭さんは顔を赤らめながら、それでもいつもの、いや、いつも以上の笑顔でそう言った。
「よ……よかったあああああ~」
その瞬間、ガチガチにこわばっていた全身から一瞬で力が抜け、俺はそのまま店の床の上にへたりこんだのだった。
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