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「そうですかぁ……」
ちょっと残念と感じた布記子だった。
「ごめんやで」
「いや、全然、気にせんといて下さい」
するとヨシ子は地味なハンドバッグから、地味な柄のハンカチを取りだし、それを目頭に当てた。
「ホンマはな、ムッチャ嬉しいねんで……
布記ちゃん、そない言うてくれて、ありがとーな…」
「バアバ、どないしたん?」
背後から、よく会話を聞き取れていなかった孫が、顔を覗かせた。
「ううん。なんでもない。
おばあちゃんな、今、メッチャ嬉しいねん」
「ふうーん」
わけは判らなかったが、心亜は、それ以上訊ねることはなく、シートに深く座った。
霧の接点
完
2017、10、1
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