天使の陵辱と獣の夢

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「はあ……はあ……っ!」  荒い息をつき、欲情に歪んだ顔をして、肩から翼の生えた身なりの良い男がラーイの肩をつかみ、仰向けに押し倒した。 「め……やめ……て……くだ…さい…」  男としての最後のプライドをかき集め、一応あげたラーイの声は、陵辱者の男の劣情を煽るだけだったようだ。  翼は高い身分を保障されたα(アルファ)性の証だ。  翼を持たないが一般人と呼ばれるβ(ベータ)性よりも更に下。  同じく翼を持たない上、特殊な性癖でα性の支配階級をたぶらかす存在と言われ。  最下層の地位に放り込まれたΩ(オメガ)性のラーイに、抵抗が許されるはずもなく。  物理的にも、今年十七の少年にしては、かなり細い華奢なラーイに抵抗できるすべは、ない。  ラーイの身にまとった古いシャツに手をかけ、ボタンを飛ばして引き裂くと、陵辱者は貪るように彼の白い肌に口づけを落としていく。  その刺激に、Ω性の特徴である三カ月に一度の発情期を迎えていたラーイは過敏に反応した。  男女の性のうち、どちらか、と聞かれれば。  平均的な大きさのペニスも、ちゃんとした精巣も持つラーイはきっぱり男、だったのだが。  Ω性の特徴である予備の器官、直腸の後ろにあり、普段は全く存在感のない子宮が、発情期間を受けて、はしたなく自己主張を始めた。
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