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side:シオン
目覚めると、窓からコツコツとガラスを叩く音がした。
まだ少し寝たがっている体を無理に起こして窓際に行くと、硝子細工の美しい小鳥が一定のリズムで窓を嘴でつついている。
窓を少し開けて中に入れてやると、机に降り立った小鳥は小さな硝子の箱に姿を変えた。
この小鳥は僕の製作した魔道具の中でも特にお気に入りのもので、普段は硝子の箱だが、魔力を登録すると小鳥に姿を変えてその相手のところまで物資を運んでくれる。
見た目が綺麗だし、僕の空間魔法で見た目よりかなり容量が大きくなっているので、世に出ればかなりの値がつけられるだろう。
まぁ金銭に興味が無いから特定の相手にしか渡していないのだけど。
早速中身を確認すると、久しぶりに会いたいという趣旨の手紙と個包装された茶葉が出てきた。
最近王都に出回り始めた新種らしいが、紅茶好きの僕には嬉しい贈り物だ。
機嫌よくリビングに向かうと、ルシィがコーヒーを飲んでいた。
ルシ「おはよ、よく眠れたか?」
シオン「うん。それと、王都から手紙が来たよ。
レオからで、久しぶりに会いたいって」
ルシ「あー、そういえばもう半年は会ってなかったな。
いつから 行くつもりだ?」
シオン「ルシィがする事ないなら、今からでも」
僕は今日するつもりだった事を、昨日の夜に深夜テンションに任せてすべて片付けたので、正直暇だからね。
ルシ「俺も特に予定はないし、今からで良い。
それと、転移で行くなら一応これ着とけ」
シオン「わぷっ。……はーい」
ルシィに投げられたローブを身に纏うと、口元以外ほぼ全てが漆黒の生地に覆われる。
僕とお揃いのローブを纏ったルシィが転移を発動し、視界が一変した。
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