恋は愚かというけれど

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「ミスターヤナせ。さっきの所なんだけど、ちょっと良いかしら」(仏) リハーサルが終わって未だ引っ掛かるところがあったのか、アーデルハイトさんが僕にそう訊ねてきた。 「ここのフレーズですね」(仏) コンマスのボナリーさんに、ヴァイオリンを借りて 例を示してみた。 勿論これはあくまでも提示に過ぎない。 僕にも弾けるような箇所で助かった…。 「こんな感じの方が、全体像が浮かび上がる感じがして良いと思うんだけど」(仏) 「うーん。成る程ね」(仏) 「弾けるのはピアノだって聞いてたけど、まさかすべての楽器一通り出来るとか?」(仏) ボナリーさんが訊ねてきた。。 「いくら何でもそこまでは。人に指示を与えるからには無理難題押しつける形にならないように、その楽器の事を知っておこうと。その程度ですよ」(仏) 肩をすくめてみせた。 「それがなかなか配慮出来る事じゃないんだよなあ」(仏) ボナリーさんはブツブツ言いながら楽譜を片づけ始めた。 何か色々実感が込められているな…。
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