心を込めて花束を

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…しょうがない。多分マネージャーの仕事を引き受けた時から、こうなる事に決まっていたのかもしれない。 流されるとか、絆されるとか、今の状況を表すにはぴったりだ。 高校生の時とは、また違った流され方だろうな。 …そういえば、あの時。 好きという感情は無かったと、センパイにぶっちゃけた時。 『…道理でな。だって奏、たまたま俺がクラスの女子と昼メシ食ってたの見ても、嫉妬すらしてなかったもんな』 あの時、自嘲染みた表情でセンパイはそう言ってたっけ。 嫉妬?今してる。してますよ。 私がまたマエストロの気持ちを断ったら、このピアノを誰か他の人が聴くのかと思うと。 居ても立ってもいられません。 さっきから、うつむいたままのマエストロの顔を小さくのぞき込む。 この部屋に入るまで、あんなに息巻く勢いだった私はいったいどこへ行ったんだ。 ピアノを一曲聴いただけでこうも変わってしまうなんて。 「分かりました。ちょうど燕尾服着てますし、教会にでもいきます?飛び込みで」                                     【終】
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