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7月 小野と草町
恒例になった彼の為のチーズケーキを買いに、定時で仕事を終えて電車を乗り継ぐ。
久々に触れるドアは記憶のままのベルの音を鳴らして開いた。
「こんばんは。チーズケーキはまだありますか?」
「おやおや。懐かしいお顔だ。お元気そうですね」
「おかげさまで」
「相変わらず、仲がよろしいようだ」
出逢ったあの頃を思い出す、学生時代通い詰めたその場所は遠い過去のようでいて、今も変わらず受け入れてくれる。
「どうぞ。また二人でいらしてください」
マスターからの祝いの品も有難く受け取って、頭を下げる。
これからも、毎年この日に此処へ通うのだろうと頬を緩めて彼の待つ家へ急いだ。
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