第3章 初恋の行方

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   パラパラとページをめくっていると、ふと目に留まったものがあった。 「これは……」  神社の写真だった。  赤い鳥居を背景に、二人の子どもがポーズを取っている。  少年と、少女。  共に幼稚園児くらいで、片方は俺であることがわかる。  形の悪いピースサインを作っている俺の肩を、少女は両手で抱き寄せていた。  背は彼女の方が高い。  元気いっぱいに満面の笑みを浮かべた口元からは、小さな八重歯が覗いている。 (この子は……)  誰だか思い出せなかった。  けれど、どこか見覚えがあるような気もする。  だぼっとしたオーバーオールに、長いポニーテール。  子どもらしいくりくりの目は、ほんのりと猫っぽく吊り上がっていて――。 「……まさか」  
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