第3章 初恋の行方

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   その目の形に、心当たりがあった。  ついでに言えば八重歯も。 「うそだろ。なんで」  思い当たる人物は一人だけいる。  けれど、そんなはずはない。  彼女と出会ったのはつい最近のことだ。  幼い頃に一緒にいた記憶なんて、思い出のどこを探しても見つからない。  けれど確かに、写真は残っている。  それは、その時間が確かに存在した証だ。  どこかでたまたま会ったのか?  けれどそれにしては、あまりにも遠慮のない間柄のようにも見える。  改めて、写真の中の幼い少女を凝視した。  ほんのりと吊り上がった猫目に、口元から覗く八重歯。  やはり面影がある。 「星蘭さん……?」  そこにある女の子の顔は、幼い頃の星蘭さんにしか見えなかった。  
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