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「そ、それじゃっ、私グラウンドの整備に行かなきゃ。邪魔してごめんね! ご、ごゆっくりー!」
そう切り上げて爽やかに去っていく日和の後ろ姿を、俺は遠い世界の光景のように眺めていた。
青い鳥が逃げていく。
俺の求めてやまなかったものが。
とてつもない絶望感により、頭がぼうっとする。
(……いや、これでいいんだ)
彼女への想いを断ち切るためにも、これで良かったのだ。
俺は、前に進むべきなのだから。
「…………。うん」
そうして、改めてわかった。
気持ちを切り替えるということは、想像していた以上に難しい。
俺はやっぱり、どれだけ足掻いたところで、日和を忘れることなんてできなかったのだ。
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