堕ちる男

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私が最低賃金の時給かつ体力的にもハードで人間関係もいいわけじゃない、このコンビニで仕事しているのには理由がある。 彼女に会うため。 毎晩のように、この時間帯に子連れで店を訪れ、夫用の晩ごはんのおかずと自分のためのアルコールを購入していく女。 彼女の夫が来店したことはないが、家族三人で暮らす賃貸アパートはここから歩いて七分少々。 化粧もせず部屋着のスウェットにサンダル姿の日も珍しくない。 そんな店内での彼女の様子を観察し、その背中を見送るのが、私の日課。
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