プロローグ

1/2
前へ
/37ページ
次へ

プロローグ

__________ ビルを渡る風が髪を揺らす。 ゆっくりと男の上体が傾いた。 つま先の先にはもう何もない。 夜の街灯りをのみ込む、ぽっかりとした暗闇が広がるだけ。 肩の高さで水平に広げられた両手は、飛び立つ鳥の翼のよう。 ひらり、上着の裾がはためいて。 そうして男は私の視界から消えた。 軽いほほえみだけを残し、地上へと落ちていった。 ___________
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加