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振り返った人影は少年の方へと歩み寄り
声をかけた
「なんだ」
少年の目の前にいるのは
14、5歳くらいの長く黒い髪を高い位置で結び真っ黒で綺麗な瞳をした無表情の少女だった。
「なんだって見りゃわかんだろ宿なしなんだよ一晩ここへ泊めろ」
少年は少々苛つきながら少女にそう言った。
「はぁ。それが人にものを頼む態度なのか? そのような無礼者など私の小屋に泊めることなどできん。諦めろ」
「ああ!! だから泊めろつってんだろ! ごちゃごちゃうるせえんだよ愚図 」
頭に血を上らせた少年は侮辱の言葉を少女へ放った
だがその言葉は少女に響かずただ無表情のまま少年を見つめていた
「泊めてやってもいいが……いい加減お前が何者なのか名乗らんか阿呆が」
面倒くさそうに質問し
「時雨」
淡々と少年は時雨と名乗った
「そうか。時雨かまぁいい今晩は泊めてやる」
少女は名を聞いてすぐに少年を小屋へ入れた
「……お前は名乗らねえのかよ」
不機嫌に少年は少女の名を尋ねた
「……その質問をされたのは38回目だ」
少女はそう答えた
「あ?」
少年は相変わらず不機嫌に返答した
「私に名はない。残念だったね 」
表情ひとつ変えず少女はそう言った
少女に敷いて貰った布団にくるまりながら少年は先程の少女の言葉を疑問に思っていた
「……その質問をされたのは38回目だ」
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