序章

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序章

 授業の内容はほとんど頭に入ってこなかった。  いや、入らせようにしても眠くて授業どころではない。昨日のバイトがたたっているのか瞼が重く、気を抜いたら一瞬で夢の世界へと旅立ってしまいそうだ。 「じゃあ、この問題を高宮君、高宮啓太君に答えてもらおうかな」  先生が自分の名前を言うが、案の定、分かるはずもない。啓太は立ち尽くしたまま頭をポリポリと書いた。  クラスからはクスクスと笑う声が聞こえる。啓太は冷や汗をかくものの答えになりそうなものは一向に浮かんでこない。  先生は困った様子で一言ため息をついた。 「はぁ……もういい、座りなさい」  そう言われて啓太が座るとクラスの笑い声が一段と大きくなった。一部の男子たちは啓太の方を見て笑う。 「この答えはみんな分かっていると思うので、次回からは次の問題に移ります。では今日はここまで、教科書やノートをしまいなさい」  授業終了のベルが鳴ると、教室中に教科書やノートを重ねる音や鞄の蓋を開けたりする音でいっぱいだったが、間もなくみんな教室を出ていった。  学校の門を出ると啓太はそのまま真っ直ぐ駅へと向かう。最近、啓太は機械的な毎日を送っていた。
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