自殺転生

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 僕はそんな大人たちが、これっぽっちも幸せには見えなかった。どいつもこいつも、デタラメなホラを吹いている、そう思った。デタラメなホラを吹く大人は、何かに怯えていて、何かを乞うていいるみたいだった。  僕はその日の夜、初めて僕はマンションの屋上から飛び降りて、自殺をした。  次に目が空いた時、僕は見知らぬ白い天井の部屋に、横になっていた。  随分小さい手と足だった。僕は気付く。  あぁ、これが生まれ変わりってやつなんだって――。      ◆       ◆  それから僕は、自殺をしてはまた生まれ変わった。  ある時は普通の会社員だった。いろいろと苦労をして入った会社だったが、僕にはやりがいというものがわからなかった。ただ毎日朝早く起きて、帰るときには明日がすぐそこだった。  ただひたすらゴムを引き延ばすような毎日は、いつしか張り裂けえていた。  僕はいつも通り仕事を終え、電車に乗って帰ろうとしたとき、線路に飛び出して死んだ。  あるときは金持ちの子供だった。毎日ただ学校へ行くだけで、時々お小遣いを貰っていた。そして父親が死んで、お金のことで揉めた。どうしてそんなにお金が必要なの? 僕には答えが出なかった。  僕はお金があっても、幸せじゃなかった。  その日の夜、睡眠薬を大量に飲んで僕は眠りについた。今までの非じゃなく、楽な死に方だった。     
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