64人が本棚に入れています
本棚に追加
亜空間の中は最悪だ。
体がぬるぬるする。
まるで、ローションに飛び込んだかの様だ。
「がぼっ!?ゴポポっ」
脇に抱えていたカオスの姿はない。
すっぽ抜けたのかもしれないが、今はそれどころではない。
ドンドン下に沈んでいるのだから。
〝やべぇな。これ死んだわ……〟
深く深く沈んでいく体。
喋る事は出来ないが、呼吸は出来る。
だが、動きが出来ないのなら遅かれ早かれだ。
〝はは…どーせなら寝てしまって気づいたらの方が楽だよな。〟
僕は目を閉じながら来世に期待する。
〝来世では、活躍できる人間になりたいなぁー〟
「むすこぉー。むすこぉー。」
またか…あの幼女……
「起きろ!息子!!」
〝イッ!!〟
「いってぇー!!」
僕は、脛を抑えながら飛び起きた。
目の前には、ぷんぷんと怒りながら、睨みあげるカオスの姿があった。
「寝てちゃ遊べないよ!
チュートリアルしょ!!!」
「はぁー?チュートリアルだ?」
何を言っているのかわからなかった。
「そう!チュートリアル!
今から息子は、冒険に出かけるの!」
「冒険?
まさか!ファンタジー世界にいけるのか?」
余程嬉しそうな表情をしていたのか、カオスも嬉しそうにうなづいた。
「うん!ふぁんたじぃー?世界だよ?」
「………あー」
その言い方に不安があった。
最初のコメントを投稿しよう!