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東西南北、四方八方、どこまでもどこまでも続く木、木、木。
当然だここは森なのだから。
ギザギザしているオレンジ髪と青い炎がデザインされた眼帯で隠された右目、左は紫の瞳、白い刀を持った成人男性にしては少し背が低い、名月英三郎(めいげつ えいざぶろう)。
目の周りにこびりついたクマ、小柄なのにさらに小さく見せる猫背座敷わらしのようなグレーのおかっぱ、青い瞳を隠すほど長い前髪、青白い肌はまるでゾンビのような男、安川協助(やすかわ きょうすけ)
二人は追っ手を撒くため、ジグザグに森の中を走る。
乱れる髪、切れる息、飛び散る汗。
安川は限界が近いのか、はぐれないように繋いでいる手から熱が伝わってくる。
もう一度周囲を見渡し、追手を撒けたことを確認する。
「きょう」
名月の声に安川は俯いていた顔を上げる。
「撒けたみたいだ」
安川の身体に負担がかからないように、名月は急に止まらずに少し歩く。
その間に周囲を見回すが、追っ手はいないようだった。
「疲れたぁ」
一体どれほど走ったのだろう?
自分たちが今どこにいるのかさえもわからない。
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