禁断の箱 序章

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少しの休憩のあと、名月が木の上から見た屋敷に辿り着く。 「本当にいない?」 「絶対にいないと思うぞ、おれだったらこんなとこに住みたくないし」 それは人間はいないという意味か? それとも幽霊はいないという意味か? 安川は勝手に入って誰かに怒られるのが怖いんだろう。 名月はいかにも何か出てきそうなお化け屋敷のようで怖い。 それなら、入らなければいい話だか、何せ追われている身のため、しばらく身を隠せそうな場所が欲しいのだ。 まさかこんなボロボロの屋敷に、名月と安川がいるなんてあいつらは思わないだろう。 「玄関があるから、昔誰か住んでいたんだろ」 「誰かいたらどうするの?」 「おじゃましまーす」 「名月」 まだまだ続きそうな会話から逃げるように、名月は中に入った。 後ろから仕方なく安川がついてきているのを感じながら。
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