序章──Xの組織、運命の悪魔──

11/19
前へ
/89ページ
次へ
「やあ、大丈夫かい?」 「ありがとうござい───え、生徒会長?」 「おや?その声は雪那くんかな」 「雪那ちゃん知り合い?……あ、ありがとうございます!」 私を姫抱きしたまま直立するこの女性は、間違いなく天青高校の生徒会長だ。 彼女ほど長身で空色の髪と瑠璃色の瞳をした、凛とした雰囲気の女性はそう居ない。 寮暮らしではない筈だが、何故ここに居るのだろうか。 「おっと、これは驚きだ。一人から二人の声が聞こえる。…取り敢えず、どう致しましてと答えておくとしようか」 「チッ……テメェ何者だ。Xマジンラーの結界で、此処には誰も来れねぇ筈だぜ」 「なるほど君達が主犯か。ま、元から居たって事には出来ないかな?」 「ありえませんね。結界内の人間は全てユートピアの糧となっていますので」 ユートピアの糧となる。つまり、顔を奪われる。 生きる希望を喰らいエネルギーとするユートピアメモリ、その能力で希望を喰われた人間は文字通り顔を奪われた状態となる。 この男がコンビニの中に居たのも、要はそういう事なのだろう。 「この外道め…!」 「まあ落ち着きたまえ。 ……ここから先は、生徒会長である私の領分だ」 『ペガサス』 生徒会長はそう言うと、胸の谷間から空色のガイアメモリを取り出して起動した。 そして、同じく谷間から取り出した空色のロストドライバーを装着する。 ………あの胸の谷間は、一体どうなっているというのか。 「天青大学付属高等学校生徒会所属、生徒会長アマネ=カミサカ……我等が学校の生徒を傷付けた事、後悔するといい。───変身」 『ペガサス』 純白の羽根が舞い、生徒会長の姿を隠す。 そして数秒後、ひらひらと舞い散る羽根の中から空色の戦士が姿を現した。 造形としてはガミジンがフェニックスメモリを使った際の姿に似ているが、装飾の意匠は赤い炎ではなく白い羽根だ。 全体的に柔らかな雰囲気を纏っており、翼を模したマントはガミジンのものより大きく、瑠璃色となっている。 複眼の色は、マントと同じく瑠璃色。 正に王子様といった様子の騎士だが、スペース上の問題なのか胸部は大きく膨らんでいる。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加