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「ふぁ………んんっ!」
日も昇り切らぬ早朝。
純白のシーツから身を起こし、伸びをする人影が一つ。
「あー、よく寝た…かな?」
皆様、御機嫌よう。
私の名前は綺原雪那。姓が綺原で、名が雪那だ。
年齢は現在十八歳である。
寝覚めから間も無く、木製の扉が叩かれる。
「はい、どうぞ」
「邪魔する───服着ろお前!」
開けて直ぐ、その人物は入室する事なく扉を閉めた。
「ん?…ああ、そうでした。…………はい。もう大丈夫ですよ、ハルカ」
即席だが、魔力を編んで簡易的な衣服を生成する。
どうせ直ぐに着替えるのだし、ワンピースでいいか。下着等も、わざわざ魔力を消費してまで作る必要はないだろう。
「ああ、邪魔す………ッ!?」
「どうしました、ハルカ?」
「いや、その格好は幾ら何でも……ああもう!ちょっと待ってろ!」
彼の名はハルカ=エミヤ。英雄と名門貴族の子として生まれた、黒髪に赤銅色の瞳を持つ男性である。
イメージしたものや既存の物体───特に刀剣の複製を得意とする、変わった魔法の使い手だ。
また、刀剣を複製した際に持ち主の戦闘経験なども読み取る事が出来るらしく、魔導師ながら達人じみた剣捌きをする。
本人曰く、魔法というよりは遺伝性の固有能力との事だ。
魔導師としての基本スペックも高く、五大元素全ての魔法に高い適性を持っている。
これも遺伝と言っていた。
彼は苛立たしく頭を掻くと、得意の複製魔法を使って下着を始めとした衣服を作った。
………なんと、妙に可愛らしいデザインかつ丁度良いサイズだ。
「ほら、早く着替えろ!」
ここまでされては仕方がない、直ぐに着替え───。
「だから、なんでさ!?」
そう言うと、彼は慌てて部屋の外に出て扉を閉める。何かあったのだろうか。
まあ良い。取り敢えず、今は着替えるのが先決だろう。
「…………よし、こんなところかな」
「やっと終わったか……頼むから、お前はもっと他人を警戒してくれ」
「お気遣い感謝します、ハルカ。しかしご存知の通り私は強いので、問題ありませんよ」
「俺としては問題しかないんだが……」
彼が小さく呟いた言葉は、私にはよく聞こえなかった。
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