序章──Xの組織、運命の悪魔──

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◆◆◆ さて、時は放課後。 学舎より少し離れた場所にある寮への帰路についていた私は、道の途中にあるコンビニの前で立ち止まった。 別に買いたい物がある訳では無い。眼前に、見覚えのある青年が立ち塞がっていたからだ。 「………よぉ、綺原雪那」 「その姿は…いいえ、貴方は誰ですか」 「くはッ!やーっぱ分かっちゃうかぁ。そうだよな、そうでなくちゃなぁ! いいぜ、自己紹介してやるよ。俺の名はガミジン……ソロモン王の七十二柱、第四の悪魔だ」 奇妙に笑うガミジン。何故運命神と同じ姿をしているのかは分からないし興味もない。 しかし唯一つ、私はどうやら質問を間違えたらしい。 「………貴方は私の、敵ですか」 「くくッ!ああ、世界の敵だ───変…身…!」 『フェニックス』 『デスティニー』 彼が取り出したのは、「F」と「D」のガイアメモリ。 「D」のメモリは私もよく知る、あの運命神の持っていたデスティニーメモリだ。 ─────何故、この男が持っているのだろう。 『フェニックス、デスティニー』 黒いダブルドライバー、これも知っている。 多少色合いやデザインに違和感はあるものの、基本的には同じ造形と見て間違いない筈だ。 いつか雑談としてノゾミが語った、Xマジンラー製のダブルドライバー。即ち、この男もあの組織に関与しているという事になる。 私が驚愕に思わず硬直している間に、ガミジンは変身を完了してしまった。 右半身に紅の炎、左半身に黄金の炎を纏う漆黒の戦士。 赤と金のグラデーションで彩られる、鳥類の翼を模したマントが風に旗めく。 その姿は、まるで────。 「───────ッ!」 『ミラクル』 不意に背筋を駆け巡る悪寒に、反射的にミラクルメモリのスイッチを押して起動させる。 ガイアウィスパーがメモリの名を発音した直後、私の腰には白いロストドライバーが装着された。
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