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宿にて、今日撮影した写真を確認する。水風七夏さんの写真だ。しかし、撮影した写真に、虹は存在しなかった。水風さんの瞳は、見る角度によって色が変化していたのに、撮影した写真5枚とも翠碧色(緑青色)の瞳である(正確には7枚撮影しているが、2枚は目を閉じた表情なので、虹は彼女の中に隠れている)。撮影した時、偶然翠碧色だったのか・・・。撮影した直後に、確認すれば良かったのかも知れないが、本人を目の前にして小さな液晶画面の中の水風さんを、まじまじと拡大して確認なんて、できなかった。やはり、虹はそう簡単に撮影できないようで、その事が水風さんの虹への魅力と関心をより強くしてくれた。あと、撮影した写真の表情が、少し硬いのも気になった・・・緊張していたのかも知れないが、できれば笑顔の水風さんが撮りたかった。
もう一度、水風さんに会う事ができるかどうか・・・気が付くと隣にいたあのバス停・・・明日も、そこにいるかどうかは分からない。しかし、水風さんの「ふたつの虹」の撮影が満足にできなかった事が、水風さんにもう一度会いたいという想いとなって、俺の記憶に、より深く刻み込まれてゆくのであった。
第一幕 完
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