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玄関の周りを改めて見回す。民宿風水には、ちょっとした「おみやげ」が売られている。和菓子と、駄菓子、氷菓のようだ。特に、凪咲さん手作り和菓子の「水大福」と「風大福」は、この街ではちょっと有名らしい。七夏ちゃんもこの和菓子作りのお手伝いをしていると話していた。そう言えば、民宿なのに宿泊客が、あまりいなくて大丈夫なのかと、余計な心配をしてしまった事もあったな。七夏ちゃんのお父さんの収入だけで、家系的には何も心配ないと凪咲さんが話してくれた。元々、民宿を始めたいと言い出したのは、凪咲さんのようで、幼い七夏ちゃんをそばで見守りながら、お仕事もできれば・・・という事。その時、七夏ちゃんのお父さんが出した条件が、禁煙の民宿にする事だった。この理由は、凪咲さんや、幼い七夏ちゃんの健康を想っての事なのだろう。
以前、七夏ちゃんが電話で話していた事を思い出す。
<<七夏「・・・当宿は、全室禁煙になりますけど・・・え? はい・・・申し訳ございません。はい。お電話ありがとうございました。失礼いたします」>>
俺は、禁煙の民宿があってもいいなと思う。
改めて、民宿風水のおみやげを眺めていると、懐かしい「笛のラムネ」が目に留まる。それを手にとって眺めていると---
七夏「柚樹さん!?」
時崎「七夏ちゃん!?」
七夏「あ、笛のラムネ・・・ですか?」
時崎「ああ。懐かしいなと思って」
七夏「くすっ☆ 私、今日のお菓子、笛のラムネにしようかなぁ♪」
時崎「え!? 今日のお菓子!?」
七夏「はい☆ ここのお菓子、一日1つ、頂いてもいい事になってます☆」
時崎「そうなんだ、七夏ちゃんの家ならではだね」
七夏「はい♪ あ、でも・・・こっちのスイカのグミもいいな・・・どおしようかなぁ」
時崎「七夏ちゃん!」
七夏「はい!?」
時崎「七夏ちゃんは、そのグミでどうかな?」
七夏「え!?」
時崎「俺、この笛のラムネ、頂くから・・・」
七夏「柚樹さんが笛のラムネ?」
時崎「笛のラムネ、こんなに沢山あっても・・・ね。半分くらい協力してくれないかな?」
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