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夏の終わりが近づいている事を告げるように現れる蝉。ツクツクボウシの鳴き声を聞くと、切ない気持ちを加速させられる。急がなければならない事が沢山ある。凪咲さんは気持ちを整えるのには時間が必要だと話してくれたけど、そんなに時間の余裕は無いと思う。
今日は、駅前の宿に泊る事にした為、手短に荷物をまとめる。
時崎「凪咲さん、では今日は、駅前の宿に泊ります」
凪咲「柚樹君、これ」
凪咲さんは、封筒を渡してくれた。
時崎「これは・・・」
凪咲「今日の宿泊代」
時崎「そ、そんなっ!」
凪咲「提案したのは私ですから♪ でも、おつりは返しに来てくださいね♪」
時崎「凪咲さん・・・ありがとうございます」
??「ごめんください」
出掛けようと思っていた矢先、玄関から声がした。凪咲さんが応対するけど、この声は知っている。
凪咲「あら、高月さん。いらっしゃいませ」
笹夜「こんにちは」
凪咲「ごめんなさい。七夏は出掛けているの」
笹夜「今日は、その、時崎さんにお話しがあって・・・」
凪咲「まあ、そうなの? 柚樹君!?」
時崎「はい。お話しは聞こえてました。高月さん、こんにちは」
笹夜「こんにちは。突然すみません」
時崎「いや、全然構わないよ」
突然の高月さんの訪問。今、七夏ちゃんとの事を考えると、高月さんが居てくれると心が幾分穏やかになりそうだ。高月さんは俺に話しがあるみたいだけど、俺も高月さんには訊きたい事がある。
笹夜「時崎さん、お出掛け・・・でしたか?」
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