第四十五幕:思い出は七色の虹へ

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自分の事が一番・・・誰だって基本的にはそうだろう。「自分さえ良ければいい」という考え方だ。だけど、七夏ちゃんの言う「自分の事が一番」は違う。「自分さえ良ければいい」という考えの人と一緒に居ても、辛くなるだけだという事。俺の思ったとおり七夏ちゃんは、相手の事も、自分の事と同じくらい大切にできる人かどうかを、自分の目の特徴を利用して判断していた・・・と、いう事になる。これは、七夏ちゃんだからこそできる判断の仕方だ。虹が七色に見えなくても、七夏ちゃんは、それ以上に大切な、でも、普通の人では気付きにくい「人としての優しい心」を持つ事が出来たという事なのだろう。 時崎「七夏ちゃん!」 七夏「はい☆」 俺は、さっきから気になっている事を、訊いてみようと思った。これは、単純に考えると、俺が「自分の事を一番に考えている」と、捉えられかねないが、敢えて、はっきりと分かる形で・・・。七夏ちゃんが、どう解釈するかは、分からないけど、確かめたいっ!!! 時崎「もし、俺と同じような人が現れたら・・・」 七夏「え!?」 時崎「七夏ちゃんは、その人にも甘えてしまうのかな?」 七夏「・・・・・」 時崎「・・・・・」 訊いてしまった・・・。七夏ちゃんは、無言のままだ。俺は、どうするべきなのか・・・。 七夏「柚樹さんっ☆」 しばらくしてから、七夏ちゃんが答えてくれた。 七夏「私、甘える人は、お父さん、お母さんと・・・後は、も、もう一人だけで、いいかなって、思ってます☆」 時崎「え!?」 七夏「そ、それ以上、たくさんの人に優しくされても、受け止め切れません・・・だから・・・」 凪咲「七夏、柚樹君!?」 七夏「あ、お母さんっ!」 時崎「凪咲さん!」 凪咲「二人とも、ここに居たのね♪」 七夏「・・・・・」 時崎「はい。とても月が明るくて」 凪咲「あら、ほんと、綺麗ね♪」     
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