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第一幕:ふたつの虹に魅せられて
流石に希少な存在である虹・・・それも、ブロッケンの虹にそう簡単に出逢えるはずもなく、疲労感だけが残る・・・こんな事は、虹の撮影を始めてから然程珍しい訳ではないが、期待感だけまだ残っているのが、なんとも言えない。虹は撮影できなかったが、都会より少し離れた、懐かしさを感じるこの街の風景や、空を撮影する事はできたから、空振りではない。
今日泊まる宿の事を考えながら駅前へ向かう。特に事前に宿を予約している訳ではなく、飛び込みだ。しかし、宿が全くないと困るので、予めいくつか宿の場所は確認している。道中、少し古びれたバス停と長椅子が目に留まる。疲れた足が意思を持つかのように、その椅子まで誘導され拝借する。その場所は、ちょうど木陰になっており、思っていた以上に涼しく、心地よかった。バスに乗るつもりはなかったのだが、とりあえず時刻表を確認してみる・・・次のバスの到着時刻まで一時間以上はあるようだ。バスが来るまでに、ここを離れるつもりではいるが、もし早くバスが着たら、それに乗ってみるのもありだろうか・・・そのまま目を閉じる・・・遠くから蝉の声が耳に届いてきた・・・。
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