11人が本棚に入れています
本棚に追加
朝食を終え、居間で少しくつろぎつつ、目を閉じる・・・近くからは、凪咲さんが朝食の後片付けをしている音だろうか・・・食器が楽器のような音色を奏でている・・・規則性の無い無秩序な響きが逆に心地よい。トットットッと階段から音もする。これは七夏ちゃんの足音だろうか。普段意識しない生活音が民宿風水に居ると、意識の対象となっている事に気付く・・・これは、慣れない場所に居る為、感覚神経が研ぎ澄まされている為だろうか。聞き慣れつつあった蝉の声と遠くの波の音に耳を預ける・・・何か聞き逃している事は無いだろうか・・・そんな事を考えつつ、しばらくすると・・・。
??「おはよーございまーす! つっちゃーいる?」
玄関の方から明るく元気な声がした。その声のした方向に目を運ぶと、一人の少女が居た。初対面時の七夏ちゃんと同じ青と白のセーラー服姿。茶色のショートヘアで、明るく元気そうな印象であるその少女と、俺は目が合ってしまう。
時崎「えっと、こんにちは」
俺の言葉に、少女さんの表情は、少し固くなりつつ、
少女「ど、どうも~」
さっきの大きな声とは、打って変わって小声だ。俺は次の言葉に詰まっていると、
七夏「あ、ここちゃー。いらっしゃいです!」
心桜「あ、つっちゃー! おはよー」
七夏ちゃんが顔を見せる・・・助かった。その少女さんの表情も明るくなった様子で、俺はホッとした。
七夏「柚樹さん。えっと、お友達の天美心桜(あまみここな)さんです!」
七夏ちゃんの取り計らいで、俺も天美さんに自己紹介をする。
時崎「時崎柚樹(ときさきゆた)です。民宿風水で、お世話になってます」
心桜「天美心桜(あまみここな)です」
やはり、俺と話す天美さんの表情は、少し固い印象だ。まあ、初対面なのだから当然だと言える。何やら、小声で七夏ちゃんと話しているようだ。
心桜「(つっちゃー)」
最初のコメントを投稿しよう!