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、会釈を返してくれたようだ。少女の顔は長い髪の奥にある為、よく見えないままだが、少しホッとする・・・が、何か気まずい・・・。更に話しかけるべきかどうか躊躇している間に、その少女は椅子から離れる。何か悪い事をした気になってしまう・・・。恐らく、少女も気まずくなったのだろうと、考えたりしていると---
少女「しばらく・・・来ない・・・です」
主 「!?」
少女「えっと・・・バス・・・待っています?」
主 「あ、バス!」
少女「・・・さっき、バスが・・・ごめんなさい」
主 「!? どうして謝るの?」
少女「そのバスに乗るはずで・・・だから・・・」
少女は、バス停の時刻表を見つめている為、後姿でその表情は分からない。言葉を詰まらせている様子から、申し訳ないと思う気持ちだけは伝わってくる。どうやら、バスが来たのに、眠っていた俺を、起こせなかった事を、気にしているらしい。
主 「なるほど、ありがとう。気にしなくていいよ」
少女「・・・・・」
主 「ここで、少し休んでいただけだから」
少女「え!? 休んでいた・・・」
主 「少し椅子を借りただけで・・・」
少女「椅子を・・・私と同じ・・・」
少女は、俺の言葉にホッとしたのか、少し言葉が柔らかくなる。そして、少女が此方に振り返った時-----
主 「虹!?」
見間違いか、まだ寝ぼけているのかとも思ったが、その少女の瞳は、虹のように七色に変化した。瞳の事を「虹彩」と言うが、彼女こそ、本当の意味での虹彩の持ち主かも知れない。七色に変化するその瞳に我を忘れかけた時、
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