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七夏ちゃんは、窓側の席を譲ってくれる。七夏ちゃんの行動はある程度予想できるようになったと思っている事と重なって嬉しく思う。
時崎「ありがとう。七夏ちゃん」
七夏「くすっ☆」
七夏ちゃんは、俺の正面に座って、その隣に凪咲さんが座る。しばらくすると窓の景色がゆっくりと流れ始めた。
イベント会場までは列車で一駅だ、俺がこの街に来た方向とは逆方向になるので、初めて見る車窓の景色を眺めておく。七夏ちゃんは小説を読み始め、凪咲さんはイベント案内状を眺めている。列車内で殆ど話をしないのは周囲への配慮なのだろうか。
車窓を眺めていると急に暗くなった。列車がトンネルに入ったようだ。窓にはっきりと映って見えるようになった七夏ちゃんと凪咲さんを、そのまま眺めていると、耳に少し圧力を感じる。列車は勾配を登っているようだ。
時崎「結構長いトンネルだな」
俺のつぶやきに、凪咲さんが答えてくれた。
凪咲「新線は、景色が楽しめなくなってしまったから」
時崎「新線!?」
凪咲「ええ。以前は、山沿いに列車が走っていたのよ」
時崎「そうなのですか?」
凪咲「時間と景色、柚樹くんは、どちらをとるかしら?」
時崎「今は、景色ですね」
凪咲「そう♪ 良かったわ♪」
時崎「旧線からの景色も見てみたかったです」
凪咲「見れると思うわ♪」
主 「え!?」
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