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自分の部屋で七夏ちゃんを待つ間、写真屋さんで頂いた製本アルバムのパンフレットを眺める。色々な大きさと、デザインが並んでいる。撮影した写真を沢山収録できる方が良いのだろうけど、あまりよくばると、サイズが大きく重たくなってしまう。以前に凪咲さんから見せてもらった「七夏ちゃんのアルバム」と同じくらいの大きさが良いだろうか・・・。そう言えば、あの時のアルバムの七夏ちゃんと比べれば、随分と笑顔の写真が増えたと思う。アルバムの最初の一枚は、七夏ちゃんと初めて出逢った時に撮影した写真・・・決して笑顔とはいえない表情の硬い写真。凪咲さんへのアルバムだと言う事を考えると、この写真がアルバムの最初を飾るのはどうなのかと少し迷うが、俺にとっては、とても大切な一枚だと言えるので、このまま配置している。
トントンと扉が鳴った。
時崎「七夏ちゃん! どうぞ!」
七夏「え!? あ、はい☆」
時崎「いらっしゃい!」
七夏「くすっ☆ 柚樹さん、どおして分かったの?」
時崎「どおしてって、七夏ちゃんが来てくれるって分かってたからね!」
七夏「お母さんかも知れないです☆」
時崎「七夏ちゃんだって分かるよ!」
七夏「え!?」
時崎「階段を上がってくる音でね!」
七夏「あ、ごめんなさい! 急いで上ってきたので、音が大きかったですか?」
時崎「そうではなくて、その・・・リズムっていうのかな?」
七夏「りずむ?」
時崎「そう、凪咲さんとは違う足音って言うのかな?」
七夏「くすっ☆ 私だと分かってもらえるのは嬉しいです☆」
時崎「もし間違えたら、ごめんね」
七夏「それでも嬉しいです☆」
時崎「どおして?」
七夏「えっと、お母さんと似ているって事になりますので☆」
時崎「なるほど」
七夏ちゃんのこのような、どっちにしても相手を気遣える答え方が出来る所は、見習いたいと思う。
七夏「えっと、私に見てもらいたいものって?」
時崎「ああ、これ!」
七夏「えっと、これは?」
時崎「凪咲さんへの製本アルバムのデザイン。どれがいいかなって?」
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