第三十幕:迷う心の虹

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慌てて鞄と中身を拾う高月さん、七夏ちゃんもすぐに手伝う。 前にもあった。あれは確か、ファーストフード店の時だ。高月さんと手が触れた事に対する反応が、俺には拒絶されているように思えて切ない。 心桜「お兄さんっ!」 天美さんに声をかけられて我に返る。天美さんは大きな浴衣を手にしている為、身動きが取れないようだ。 時崎「え!? あ、すまないっ!」 俺も落とした荷物を拾うのを手伝う。すると、その様子を見ていたピアノの販売員さんも、高月さんの荷物を拾ってくれ、そのまま話しかけられた。 笹夜「すみません。ありがとうございます!」 店員「いえ。先ほどの演奏、とても良かったです! オリジナルの曲でしょうか?」 笹夜「え!? はい・・・このピアノ、音色がとても素敵でした♪」 店員「ありがとうございます!」 笹夜「え!?」 店員「申し遅れました。私、RunDraw社の者です」 笹夜「まあ! こちらのピアノは電子ピアノなのでしょうか?」 店員「はい。グランドピアノの持つ良さを、アップライトピアノのようにコンパクトにまとめた新製品となります」 笹夜「確かに奥行きがとても短いのに、音色はとても奥行きがあります♪」 心桜「おっ! 笹夜先輩がシャレたっ!」 七夏「ここちゃー!」 時崎「・・・・・」     
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