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俺は、さっきの高月さんとの出来事が引っかかって三人の会話がぼんやりとしか届かない状態だった。
店員「こちらのピアノが、今までの電子ピアノと物理的に異なるのは、グランドピアノの発音や構造をシミュレートする物理演算を行っております『ピアノ・モデリング音源』を搭載しています」
笹夜「えっと・・・」
店員「従来の電子ピアノとは仕組みが異なるという事です。グランドピアノの持つ優雅さを、お手軽にリビングで楽しめます」
笹夜「よく分からないですけど、音が素敵なのはよく分かります♪」
心桜「おっ! 笹夜先輩が!」
七夏「ここちゃー!」
時崎「・・・・・」
店員「先ほどの演奏は、オリジナル曲とおっしゃってましたね?」
笹夜「え!? はい」
店員「私たち、RunDraw社ではオリジナルのピアノのデモ演奏曲をご提供くださるお方を募集いたしておりまして---」
笹夜「まあ!」
高月さんと店員さんは、ピアノの事でしばらく話し込んでいるようだが、その詳細までは分からない。俺はこの後、高月さんとどのように接すればよいかという事ばかりに意識を持ってゆかれていた。
心桜「お兄さん!」
時崎「え!?」
心桜「笹夜先輩、なんか長くなりそうだよ!?」
時崎「そ、そう・・・か」
心桜「ん!? お兄さん!? 大丈夫?」
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