第三十一幕:日常の虹

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七夏「はい☆ えっと、柚樹さんと半分ずつです☆」 時崎「全部、七夏ちゃんが貰うといいよ!」 七夏「え!? でも・・・」 普通に話すと、七夏ちゃんは遠慮してくるのは既に知っている。七夏ちゃんが喜んで全部受け取ってくれる話し方・・・それは、俺が望んでいる事であればいいはずだ。 時崎「いつも色々とお世話になっているから、俺からの『お願い』聞いてくれるかな?」 七夏「・・・はい☆ ありがとうです☆」 七夏ちゃんは、俺の事を良く知ってくれている。俺も七夏ちゃんよりはゆっくりだけど、少しずつ七夏ちゃんの心が分かってきている事を実感している。 ひとつひとつの小さな出来事の積み重ねが日常へと育つ。七夏ちゃんの「ふたつの虹」を今日は全く意識していない・・・これこそが--- 七夏「柚樹さん☆」 時崎「え!?」 七夏ちゃんは、列車を駅に停車させて、こちらを見つめている・・・これは、俺にも分かる! 時崎「じゃ、一枚撮るよ!」 七夏「はい☆」 俺は、今日まったく意識していなかった「ふたつの虹」・・・いや、「日常の虹」を撮影する事が出来た。大切なのは、この「ふたつの虹」がどんな色なのかという事ではなく、七夏ちゃんが幸せに満たされていれば、どんな色でもいいのだと思うのだった。     
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