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第十一幕:ふたつの虹と太陽と
民宿風水にお世話になって三日目の朝。蝉の目覚ましに急かされるが、その声を掻き消すように布団の中に潜り込み、少し考える。
当初の目的から大きく予定が変更されている。主目的であったブロッケンの虹は、撮影できている・・・けど、今思うと、かなりコントラストが低く満足はしていない。そして、七夏ちゃんの「ふたつの虹」・・・目視では、はっきりと分かるのに、虹としては撮影できていない事。それよりも、七夏ちゃん自身の虹の見え方の方が気になる。「ふたつの虹」の撮影はできなくてもいい。けど、その持ち主には本当の虹を知ってもらいたい・・・一体どうすればいいのだろうか・・・。
蝉の目覚ましに混ざって、トントンと物音がする。
七夏「柚樹さん!」
扉を叩く音と、七夏ちゃんの声がする。
時崎「七夏ちゃん! どうぞ!」
俺は、少し慌てて布団から飛び起きる。
七夏「おはようございます! って、まだ、おやすみでした?」
時崎「おはよう! ちょっと布団の中で考え事してて・・・」
七夏「くすっ☆ もうすぐ朝食できますので!」
時崎「ありがとう!」
七夏「えっと、今日もここちゃー・・・あ、お友達が来ますので・・・」
時崎「天美さん!?」
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