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僕は大阪、天神橋商店街で育った。高校2年生までは男子として過ごしたが夏休み、電信柱にぶつかった瞬間に女子に性転換してしまった。
高山成海って同じクラスの女子と同じ年の6月に初エッチした。成海がセックスを求めてきたのに、僕は何にも感じなくなっていた。
そりゃそうだ。僕はもう男子じゃないんだ。
「ねぇ?どうして?なんで反応してくれへんの?」
ラブホに入って僕の制服のベルトを外している成海が悲しそうな顔をしていた。
「やめて!」
男としての生殖器を失った変わりに女子としての生殖器を手にした。
「なんなん!?浮気でもしてるんやないの!?」
「違うんよ?少し風邪気味なの」
「そう、それは帰った方がいいかも」
部屋はアロマオイルの仄かな香りがしていた。
ホテルから出てベイエリアの海遊館ってアクアリウムに入った。トンネル型の水槽には圧巻した。上も横もガラス張り、一面がブルーだ。熱帯魚やエイがユラユラ泳いでいる。
「ウワースゴ~い!キレ~」
「そうやね?ロマンチックやね?」
「征一くん、どうしておネエ言葉なん?」
「イヤ~これにはワケがあって」
「ワケって?」
エスカレーターで8階に上がった。そこはジャングルになっていた。太陽の光が注ぎ、小鳥が囀ずっている。滝や川が流れている。カワウソやオオサンショウオウがのんびり歩いている。
「大阪じゃないみたい!」
成海が感嘆の声を漏らす。
成海がキスをしようとしてきた。
ピシャン!反射的に僕は成海をビンタした。
「何すんのん!?」
「アタイ、男やない」
「はっ、はぁ!?何ゆーとんねん!?」
「電信柱にぶつかった日から男やないねんて」
僕はいきさつを話した。
「ディズニー映画みたいやん?」
「証拠を見せたる!」
カチャ……カチャリ…………バサッ!
ベルトを外してズボンを下ろした。
「キャァァァッ!」
「鶴瓶の後任者か?」
観客が悲鳴を上げる。
「これが証拠や?あんたとおんなじ女やねん、なんも感じないねん」
アソコはすっかり乾いていた。
17歳、8月…………僕たちの恋は終わった。
そして僕の新しいラブストーリーが幕を開けた。
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