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 悪い奴らが街に蔓延る。   戸倉殺しの現場にはメモ帳が置いてあり、謎の言葉が書かれてあった。   唐崎、志賀、打出浜、瀬田橋、位山…………なるほど、枕詞…………つまり、犯人は枕営業をしていた!?  戸倉はゲイバーのマスターだ。  他の刑事に俺の推理を聞かせるわけにはいかない。唐崎は正確には辛崎なのだが、戸倉が間違ったのだろう。  イマドキはWikipediaもあるし、万葉集を知らなくても《枕言葉》を入力するだけで教授モドキになれる。戸倉はバカそうな顔をしている、きっとゆとり世代だ。  しかし、意味が分からんぞ?枕営業ってワザワザ残すかな?枕崎とかって人物なのかも知れない。 「大津さん?いったい、何を考えてるんです?」  後輩の朝野に探られそうになった。 「なんでもねーよ」  朝野もゆとり世代だ。少しは頭を使え! 「後輩には優しくしろよ?」  鮪警部補に叱られた。  鮪は何にも感じない。戸倉は背中にアイスピックを刺され血みどろなのに。 「征一?あれ?征一じゃない?」  聞き覚えのある声だ。貴幸!?何で、アイツがここに?マズイ!俺がゲイってことは誰も知らないんだ。 「タカちゃん?な~に?大津と知り合いなのかしら?」  鮪が裏声で言った。まっ、まさか、コイツ猫なのか?貴幸は犬井貴幸ってゆーんだけど、本性は猫だ。 「うん、昔の恋人」 「なっ、なに~!?貴様、ソッチだったのか?早く言えよ?署長に掛け合っておいてやるよ?ゲイならゲイって言えよ~?今までヒドイ扱いだったろ?うん、分かるわよ?もう、悩まなくていいわよ?」  鮪が乳首をYシャツの上からツンツンしてきた。  かっ、感じる!猥シャツ。 「嬉しいような?悲しいような?」 「貴幸、関西弁じゃないのね?」 「矯正されたよ東京弁に、関西弁喋ってたらアッパーカット食らわせられて」 「ひどーい、誰からぁ?」 「カンチってゲス野郎」 「どーゆー字を書くのかしら?」 「関ヶ原の関に知るって字」 「関知ねぇ」  「で?貴幸は今の役職は?」 「ゲイ察官」 「ふざけないで!?真面目に話してるんだからぁ?」 「本庁捜査一課の管理官ですわよ?」  警視かよ! 「春奈署にはなれたかしら?」  春奈駅のすぐ近くにあるお洒落な洋館!それが春奈署ですのよ? 「ええ、とっても快感よ?」 「快適じゃなくて?」  スマホが鳴った。 「あったしー大津征子~」
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