釆女橋

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釆女橋

 釆女橋交差点の近くにあるカフェにやって来た。 「征一ちゃん」 「やぁ、蛭田君」  朝野に蛭田、わざとらしいって思うわよね? 「ヒルヒル困っちゃったの?突き指しちゃったの~?無理して女を手マンしてたから」 「男の方が集中できるだろ?ゲイを隠すことないじゃない?」 「真智子に犯されたのよ?私を感じさせないと殺すわよって」  蛭田とは矢追駅近くにあるゲイバーで知り合った。真智子は婦警、蛭田は情報屋として真智子に奉仕している。 「死んじゃえばいいじゃない?」 「どーしてそーゆー失礼なことゆーわけぇ?」  扇風機がガラガラとうるせー音を立てる。  7月も半ば、クーラーくらい入れろよ? 「で?今日は何のよう?」 「春奈のゲイバー殺し知ってるわよね?」 「えっ、知らないわ?」  事件のいきさつを蛭田に話した。 「あなたは犯人じゃないわね?」  ゲイバー殺しは未だブンヤも知らない。 「そんな軽口でよく刑事してられるわね」 「枕って名前のつく人間を探してほしいの」 「枕言葉ねぇ?枕営業の方が正しいんじゃないの?」 「最初はワタシもそう思ったのよ?でも、ゲイバーで枕営業って普通のことじゃない?」 「枕してなかったかもよ?ダイイングメッセージじゃなくて、犯人を脅してたんじゃないの?枕営業を匂わせる言葉を書いてビビらせてたの?」 「遠回し過ぎるでしょ?事件が解決したら真智子を逮捕してやってもいいよ?」 「出てきてもまた羞恥プレイされるのよ?」 「羞恥プレイくらいで済めばいいけどねぇ?悪いけどアンタのために人殺しはイヤだからね?そこまで出世は望んでないの」  鮪や貴幸がいる。十分満たされている。また、貴幸とエッチなことが出来るかも? 「分かったわ?征一ちゃんの頼みなら断れないわ」  鮪は春奈図書館にやって来た。  カウンターのモヒカン男が熱い視線で見つめている。「ナカナカいい男ねぇ?」 「すみません、僕には決まった男性がいます」 「そうなの?残念ねぇ?」  モヒカン男はザーメンをピュッと織田信長の自画像にぶっかけた。 「信長ぁ?しゃぶってぇ?最後まで飲み干してぇ?」  気色悪!鮪は手錠をかけてムチでバシバシ叩いた。《万葉集》を読んでいると《辛崎》に目が止まる。辛崎は滋賀県にある大津を意味している。  大津!?まっ、まさか、犯人は…………!?
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