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駅前のコンビニで、売れ残りの地味な幕の内弁当を買うと、佐藤忠信はとぼとぼと自宅に向かう。
今夜も残業で遅くなってしまった。人手不足で日々業務に追われ、そのうえ管理職である上司のミスで手戻り作業が発生し、その責任までおっかぶされ、取引先に頭を下げたりして心身ともにくたくたの40代である。
終電を降りて歩く深夜の町は、人通りもなく寂しい。かつて日本に活気があったころは、しょうもないこの町の駅前ですらギラギラとしたネオンが眠らない不夜城の象徴として通りを照らしていたというが、いまやそんな過去があったのかと疑うほど暗く静まりかえっていた。
さっさと帰りたくて近道しようと公園の中をつっきる。故障しているのか、街灯があちらこちらで消えて、静かな闇が広がっている。等間隔で並ぶベンチが、まるで得体の知れない生き物がじっと伏せているかのようだった。
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