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仕事仕事で息つく暇もないのはたしかだ。一時的とはいえ、「少女」になれるというのは、倒錯した変態的な誘惑となって忠信の脳に麻薬のごとく侵入してきて、抗い難い。魔が差した、といってもよかった。
「わかった、魔法少女になってやるよ」
それでストレスが発散できるのなら、と忠信は了承した。
「うれしいわ」
魔法少女は忠信の両手を握りしめた。薄い手袋ごしの感触が華奢で、これでよくあんな力が出せるものだな、と不思議だった。
「じゃあ、これを持って」
魔法少女は、手品のように、持っていた白いステッキを2本にし、1本を忠信に差し出す。
反射的に受け取る忠信。
長さは80センチほど。径は3センチほどだがグリップがついていて握りやすい。先端にはメダルのような光るものが取り付けられており、ハートマークが描かれていた。いかにも魔法少女が持つような意匠であった。
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