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京都には、いろんな都市伝説が存在する。
その中でも一番有名な話が”深泥池”。
深夜のタクシーが市内を流していると、1人の女性が手を挙げていた。
そのタクシーは女性を乗せた。
運転手が「どちらまで?」
すると女性が「深泥池に行って…」
その頃は、へんぴな場所で不審に思った運転手、だが車を走らせた。
しばらく走り目的地に、そこは深泥池、辺りは真っ暗、だかその先で御通夜が…
女性は、お金が無く家に取りに帰ると言い、その葬儀中の家に入った。
しばらくしても女性は帰って来ず、仕方無く運転手がその家に入るが葬儀中。
「あのぅ…」と言いかけ、祭壇に目がいった。
だが!慰霊の写真が、あの女性!
運転手は、倒れたまま意識を戻さなかった。
それは丑三つ刻、霊の力がピークになる時間。
そのタクシーの後部座席はびっしょりと水浸しになっていた…
私、”茨木龍一”は素直で騙されやすい性格、部下達には人望が厚いが、いわゆる”お人好し”である。
子供の頃は気が弱く、いじめを受けていた。
中学に入り、いじめが酷くなったのがきっかけでボクシングを習い出し、段々と強くなる一方で、いじめは無くなっていった。
高校生になり、その強さから生徒会にも誘われ、私は人の上に立つ喜びを感じ始めた。
進路に悩んでいた高2の夏休み生徒会の用事で学校に行ってみると、体育館を封鎖し改修工事が行われていた。
その中で働く職人達を指揮している現場監督に興味を持ち数日間、見学に通った。
現場監督は良い人で職人達の上に立ち楽しい感じで現場を進めていた。
なるなら現場監督…
その影響を受け大学は建築学科に進み、卒業後は京都の建設会社に就職した。
就職した始めの頃は監督の下に付き、現場では副監督と呼ばれ、呼び名は良いのだが社内では平社員、雑用係の様な事を10年くらいやり、やがて努力が認められ、係長そして現場監督となり課長と昇進していった。
夏の暑い日差し、蝉は泣き叫び太陽は弾けんばかりにギラギラ、熱を増している。
ここは市内の工事現場、私は毎日汗を流し働いていた。
その頃の私は、主に現場に出向き部下達を指揮し現場を進める事を生業としていた。
また京都は寺社が多く、その仕事のほとんどが寺の改修工事であった。
そんなある日、私が40歳を過ぎた頃から私の周りで不可解な事が始まりだした。
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