01 小部屋の魔王
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――トンネルを抜けると異世界だった。 そこは四方がすべて真っ白で、一回りするのにほんのひと時もかからないほどの広さしかなかった。 隅には小さな女の子が一人、膝を抱えて座っていていた。 他には何もない。 ここは、それだけの異世界だった。 異邦人の存在に気づいて、白い少女は落ちる滴のような声でつぶやいた。 「――わたしは魔王。さあ、わたしを殺してください。勇者さま――」
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