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上着を持ってきて正解だった。
波に足を晒されながら、ぼーっと月を眺めていた。
その姿がとても儚くて、綺麗で、……今にも消えてしまいそうで
「こーんなとこに居ったんかいな」
「__…」
「あーあー、体冷たなっとるやん」
抱きしめながら軽い口調でそう言った。
「…?」
首をかしげる姿にほほ笑みかける。
「こーんな綺麗なお月さん見るなら、俺も誘ってくれればええのに、…いけずやなー」
「!」
微笑んだまま、にこやかにそう告げれば彼は慌てながら首を横に振る。
「分かっとるよ、でも次からは起こしてな?」
迷惑とか、そういうのは考えないで
「起きた時1人とか寂しいやろ…?」
俺のわがままって免罪符を与えるから、何でも言ってくれればいいのに。
戸惑ったように俯いてしまった。
「せやから、毎日俺の事起こしてな?
朝一で__の顔見れたら、それだけで俺はシアワセやから」
ふわりと、腕にかけていた上着を__の肩にかける。
そのまま抱き込んで、耳元で囁いた。
「愛しとるよ」
(ずぅっと、君の声がでなくても)
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